
第二種電気工事士の資格を取ると、どんな仕事に就けるのか。結論を言うと、住宅・店舗・工場・ビルなど幅広い現場で働ける。職種は施工・点検・メンテナンスと多岐にわたり、正社員・派遣・フリーランスで働く選択肢もある。
第二種電気工事士が担当できる工事の範囲
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まず、第二種電気工事士の法的な作業範囲を確認しておく。
経済産業省の電気工事士制度によると、第二種電気工事士が工事できるのは「600V以下で受電する一般用電気工作物」だ。
具体的には以下の場所が該当する。
- 一般住宅(戸建て・マンション)
- 床面積500㎡未満の小規模店舗
- 低圧受電の小規模事業所
大規模なビルや工場は第一種電気工事士の領域になる。ただし、第二種でもその補助作業員として現場に入ることは多い。18年の経験から言うと、第二種を持った段階で即戦力として採用される現場は非常に多い。
第二種電気工事士で就ける仕事の種類【7選】
1. 住宅電気工事
新築住宅やリフォームの配線工事を担当する。コンセント・照明・分電盤の設置が主な作業だ。戸建て1棟あたりの工期は2〜5日程度。単価は15〜30万円が相場となる。
実際に私が現場で担当した新築案件では、1日で約20か所のコンセント取付を完了させたこともある。段取りと工具選びが作業スピードを大きく左右する。
2. 店舗・商業施設の内装電気工事
飲食店・美容室・コンビニなどの新規オープンや改装に伴う工事だ。照明の演出や厨房機器への電源供給など、住宅より細かい要求が多い。1件あたり30〜100万円規模の案件が多い。
3. マンション・集合住宅の設備工事
エレベーターや共用部の照明交換、各戸のコンセント増設などを担当する。1棟丸ごと受注できれば安定した収入になる。管理会社との継続契約につながりやすい仕事でもある。
4. 設備メンテナンス・定期点検
既存の電気設備の点検・修繕を行う。月次・年次の定期点検が中心だ。ルーティン業務なので収入が安定しやすい。工場・スーパー・ホテルなどが主な発注先になる。
5. 太陽光パネルの施工・接続工事
住宅用太陽光発電システムの設置に伴う電気工事だ。パワーコンディショナーの接続・分電盤工事が主な作業になる。近年は蓄電池の設置案件も急増している。1件あたりの工賃は5〜15万円程度が多い。
6. EV充電設備の工事
電気自動車の普及に伴い、家庭用・商業施設用の充電設備設置工事が増加している。2026年現在、国の補助金制度も整備されており、需要は拡大中だ。新しい分野なので資格保有者の取り合いになっている現場もある。
7. 電気工事の施工管理補助
大規模現場では第一種電気工事士や施工管理技士の補助として働く役割もある。工程管理・材料手配・現場の立会いが主な業務だ。第二種取得後にキャリアアップを目指す段階で経験できる仕事だ。
職場の種類と働き方の違いを比較
📖 参考書・テキスト
資格を取った後、どこで働くかによって年収や働き方は大きく変わる。代表的な職場を比較する。
| 職場の種類 | 平均年収 | 安定性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 電気工事会社(正社員) | 350〜500万円 | 高い | 社会保険・賞与あり。未経験入社も多い |
| ゼネコン・サブコン | 450〜650万円 | 高い | 大規模現場中心。残業多めの傾向 |
| ビル管理会社 | 300〜420万円 | 非常に高い | 定期点検がメイン。体力的に楽な面も |
| 派遣・常用単価 | 日給1.5〜2.5万円 | 普通 | 自由度が高い。単価交渉もしやすい |
| 独立・個人事業主 | 500〜1,000万円以上 | 低い(最初は) | 自由度最高。営業力が収入を決める |
電気工事会社への就職が最初のステップとして最適な理由
18年の経験から言うと、最初の3〜5年は電気工事会社に正社員として入ることを強く勧める。理由は3つある。
- 現場の段取りや安全管理を体で覚えられる
- 道具・材料の知識が自然と身につく
- 先輩から技術を直接盗める環境がある
私自身も最初の7年間は大阪の中堅電気工事会社に在籍し、年間100件以上の現場を経験した。その積み重ねが独立後の収入に直結している。
資格取得後の具体的なキャリアパス
取得直後(0〜3年目)
電気工事会社に就職し、住宅・店舗工事を中心に経験を積む。年収の目安は300〜380万円。まずは現場の流れを覚えることに集中する時期だ。
この時期に第二種電気工事士の試験対策で学んだ知識を実務に結びつけることが成長の鍵になる。
中堅期(3〜8年目)
第一種電気工事士の取得を目指す。認定電気工事従事者の資格も取得すると、工事の対応範囲が広がる。年収は450〜550万円が現実的な目標だ。施工管理の資格も視野に入れると年収600万円超えも見えてくる。
独立・副業フェーズ(5年目以降)
個人事業主として独立する場合、最初の1〜2年は収入が不安定になる。ただし、コンスタントに月20件こなせる体制ができれば、年収700万円超えも十分狙える。
副業として週末だけ電気工事を請け負う形から始める人も多い。この場合、月に3〜5件で副業収入5〜15万円を得ている人が実際にいる。
試験に合格するための準備と工具選び
仕事に就く前に、まず資格取得が必要だ。電気技術者試験センター(公式)によると、2026年の第二種電気工事士試験は筆記・技能の2段階で実施される。
技能試験では工具の扱いが合否を分ける。技能試験合格者が選ぶ工具セットの選び方を参考に、試験前に自分に合った工具を揃えておくことが重要だ。工具にかける費用は1〜3万円が目安になる。
第二種電気工事士の求人市場と2026年の動向
2026年現在、電気工事士の有効求人倍率は全国平均の約3〜4倍と言われている。つまり、求人数が求職者数を大幅に上回っている状態だ。
特に需要が高まっている分野は次の通りだ。
- EV充電設備の設置工事
- 太陽光・蓄電池の設置工事
- 老朽化した集合住宅の電気設備更新
- データセンターの電気設備工事
大阪を中心に活動している私の実感では、EV充電設備の案件は2023年比で約2倍以上に増えている。資格を持っていれば仕事に困ることはまずない状況だ。
未経験から転職する場合のポイント
資格取得前から就職活動を始められる
多くの電気工事会社は「資格取得見込み」での採用を行っている。試験に合格していなくても、筆記合格の時点で内定を出す会社も多い。早めに動くことが有利になる。
転職エージェントより求人サイトが有効
電気工事の求人は「建設工事専門の求人サイト」に集中している。「電工求人ナビ」「建職バンク」「俺の夢」などが代表的だ。地域密着の工事会社は公式サイトで直接募集していることも多い。
面接で押さえるべき3つのポイント
電気工事会社の面接で重視されるのは以下の3点だ。
- 体力・高所作業への適性
- 普通自動車免許の有無
- 工具を自前で揃える意欲
学歴や前職の職種はほぼ問われない。30代・40代での転職成功事例も多い業界だ。
副業・フリーランスとして働く場合の注意点
副業として電気工事を請け負う場合、いくつかの重要な注意点がある。
電気工事業の登録が必要な場合がある
電気工事を業として行う場合、「電気工事業の登録」が都道府県に必要になる。1件限りの知人の依頼であれば問題ないケースもあるが、継続的に受注する場合は登録が必須だ。
賠償保険への加入は必須
工事のミスによる火災・漏電事故は賠償額が数百万〜数千万円になることもある。個人で仕事を受ける場合は賠償保険への加入を必ず行うこと。月額保険料は3,000〜1万円程度が相場だ。
よくある質問(FAQ)
Q. 第二種電気工事士の資格だけで就職できますか?
A. 十分に就職できます。多くの電気工事会社は第二種取得者を積極的に採用しています。未経験・無資格より採用率が大幅に上がります。初任給は月22〜28万円が相場です。
Q. 第二種電気工事士と第一種電気工事士の仕事の違いは何ですか?
A. 第二種は主に住宅・小規模店舗などの低圧工事が対象です。第一種になるとビル・工場・大規模施設の高圧工事も担当できます。年収差は平均で年50〜100万円程度になることが多いです。
Q. 40代・50代でも電気工事士として転職できますか?
A. 転職できます。電気工事業界は慢性的な人手不足のため、40代・50代の採用事例は多くあります。体力面への配慮は必要ですが、点検・メンテナンス系の職場であれば長く活躍できます。
Q. 第二種電気工事士で独立するには何年かかりますか?
A. 最低でも3〜5年の現場経験が必要です。施工の段取り・材料の調達・顧客対応を一人でこなせるレベルになってから独立することを強く推奨します。早期独立は廃業リスクが高まります。
Q. 第二種電気工事士の資格は副業に使えますか?
A. 活用できます。ただし、継続的に請け負う場合は電気工事業の都道府県登録と賠償保険の加入が必要です。副業の場合、月3〜5件で5〜15万円の収入を得ている人が多いです。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。
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