
第一種と第二種の違いを一言で言うと「工事できる範囲」。第二種は一般住宅・小規模店舗が対象。第一種はビルや工場など最大電力500kW未満の施設まで工事できる。どちらを取るべきかは、この記事を読めばすぐわかる。
第一種・第二種電気工事士の「できる工事」の違い
📚 おすすめ資格講座
まず一番重要な「作業範囲」の違いを整理する。
| 項目 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 |
|---|---|---|
| 工事できる場所 | 一般住宅・小規模店舗(600V以下) | 最大電力500kW未満の需要設備も可 |
| 対象施設例 | 一戸建て・アパート・コンビニ | ビル・工場・病院・学校 |
| 高圧受電設備 | 工事不可 | 工事可能 |
| 自家用電気工作物 | 不可 | 可能 |
住宅のコンセントやスイッチ交換は第二種で十分対応できる。しかしビルの幹線工事・高圧受電設備の改修は第一種がなければ違法になる。法的根拠は経済産業省の電気工事士制度ページで確認できる。
第二種だけでは「できない工事」の具体例
- マンション共用部の高圧一括受電工事
- 工場内の動力盤・分電盤の設置工事
- 病院の非常用発電設備への接続工事
- ショッピングモールの電気室内作業
- 太陽光発電の系統連系(高圧側)
18年の経験から言うと、住宅専門の職人は第二種だけで十分稼げる。年間200件以上の現場を回っているが、住宅リフォーム案件だけで月40〜50万円の売上は普通に出る。
試験の難易度の違い|合格率・試験科目・勉強時間を比較
合格率の差は約10〜15%
| 項目 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 |
|---|---|---|
| 筆記試験合格率 | 約60〜65% | 約40〜50% |
| 技能試験合格率 | 約70〜75% | 約60〜65% |
| 必要な勉強時間 | 筆記60〜100時間 | 筆記100〜150時間 |
| 技能練習時間 | 20〜40時間 | 30〜50時間 |
| 年間試験回数 | 年2回(上期・下期) | 年1回 |
| 受験料(2026年) | 9,300円 | 11,300円 |
試験情報の詳細は電気技術者試験センター(公式)で確認できる。
筆記試験の出題範囲の違い
第二種の筆記は全50問・四肢択一。第一種は全50問だが内容が一段難しい。
- 第二種:直流・交流回路/配線設計/法令(比較的やさしい計算)
- 第一種:高圧受電設備/変圧器/電動機/施工管理まで追加
実際に私が第一種を受験したとき、一番苦労したのは「高圧配電理論」の計算問題だった。第二種の勉強で培った基礎があっても、高圧分野の理解には追加で3〜4週間かかった。
第二種の試験対策については2026年試験対策|第二種電気工事士の過去問分析と合格体験談【現役電工が解説】も参考にしてほしい。合格点の目安は第二種電気工事士の試験は何点取れば合格?筆記・技能の合格基準を解説で詳しく解説している。
技能試験の難易度の違い
第二種の技能は候補問題13問から1問出題。第一種は候補問題10問から1問出題されるが、作業量が多い。
- 第二種:制限時間40分・単相2線式・3線式が中心
- 第一種:制限時間60分・三相3線式の結線が追加
第二種の技能対策には工具選びも重要。工具選びで差がつく!第二種電気工事士 技能試験 合格者が選ぶ工具セット完全ガイドで詳しく解説している。
第一種を取得するための「条件」が第二種と大きく違う
📖 参考書・テキスト
第一種は試験に合格しても「免許」がもらえない
これを知らない人が多い。第一種電気工事士は試験合格後に免許証を取得するために「実務経験」が必要になる。
| 学歴・経歴 | 必要な実務経験年数 |
|---|---|
| 大学・高専の電気系学科卒業 | 3年以上 |
| その他(高校・中学卒業など) | 5年以上 |
つまり第一種の試験に20歳で合格しても、実務5年がなければ免許証は発行されない。「試験合格≠免許取得」という点が第二種との最大の違いの一つ。
第二種は試験合格後すぐに免許が取れる
第二種は実務経験不要。試験合格後に都道府県への申請(手数料:約5,200円)で即日免許証が交付される。18歳以上であれば誰でも受験・取得が可能。
取得する順番はどうすべきか?
結論:必ず第二種から取る
理由は3つある。
1. 第一種の試験は第二種の知識が前提になっている
2. 第二種取得後に電気工事の現場に入ることで実務経験を積める
3. 第二種で稼ぎながら第一種の勉強ができる
18年の現場経験から言うと、第二種なしで第一種を目指すのは遠回り。まず第二種で現場に立ち、3〜5年の実務を積みながら第一種の勉強をするのが王道ルートだ。
第二種取得後の現実的なキャリアプラン
| 時期 | やること | 目安の年収 |
|---|---|---|
| 取得直後〜1年 | 第二種で住宅・店舗工事に従事 | 280〜350万円 |
| 2〜3年目 | 第一種の筆記試験合格を目指す | 350〜420万円 |
| 5年目 | 第一種免許取得・主任電気工事士へ | 450〜600万円 |
| 7年目以降 | 独立・個人事業主として開業 | 600〜900万円以上 |
給料・資格手当の詳細については第二種電気工事士の平均給料と資格手当の相場|年収を上げる方法も解説を確認してほしい。
資格手当・給与への影響の違い
第一種保有者は毎月の手当が大きく変わる
| 資格 | 一般的な資格手当(月額) |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 3,000〜10,000円 |
| 第一種電気工事士 | 8,000〜25,000円 |
| 第一種(主任電気工事士) | 15,000〜40,000円 |
実際に私が勤めていた会社では、第一種取得で月15,000円の手当が加算された。年換算で18万円の差になる。5年間で90万円以上の違いが出る計算だ。
就職・転職・副業への影響の違い
第二種だけで就ける仕事は十分多い
住宅・マンション・小規模店舗への電気工事がメイン。求人数で言えば第二種保有者向けの案件が圧倒的に多い。
- 住宅リフォーム会社
- ハウスメーカーの下請け電気工事会社
- 太陽光パネル設置業者(低圧側)
- ホームエレクター・EV充電器設置業者
就職先の選び方は第二種電気工事士の資格で就ける仕事の種類と職場の違いで詳しく解説している。
第一種があれば「主任電気工事士」として独立できる
電気工事業を営む場合、登録電気工事業者には主任電気工事士の配置が義務付けられている。第一種を持っていれば会社の要職に就けるだけでなく、自分で業者登録して独立することも可能になる。
副業・独立の観点でも、第一種は強力な武器になる。大阪で独立した知人は、第一種取得後に個人事業主として登録。初年度から売上600万円を超えた事例を複数知っている。
「認定電気工事従事者」という第三の選択肢
第二種取得後に「認定証」で工事範囲を拡大できる
第二種電気工事士が「認定電気工事従事者」の認定証を取得すると、自家用電気工作物のうち最大電力500kW未満の施設の低圧部分(600V以下)の工事ができるようになる。
| 資格 | 取得方法 | 費用 |
|---|---|---|
| 認定電気工事従事者 | 第二種取得後に講習(1日) | 約12,000円 |
私自身もこの認定証を保有している。1日の講習だけで取得できるので、第二種取得後はすぐに申し込むことをすすめる。ビルのコンセント増設や内装工事で役立つ場面が年に何十回もある。
よくある質問(FAQ)
Q. 第二種を持っていない状態で第一種を受験できますか?
A. 受験自体は可能。第一種の受験資格に第二種の取得は含まれていない。ただし試験内容が第二種の知識を前提としているため、第二種なしで合格するのは難しい。また試験に合格しても実務経験(3〜5年)がなければ免許証の交付を受けられない点に注意。
Q. 第二種電気工事士だけで独立開業はできますか?
A. 住宅専門であれば独立は可能。ただし電気工事業として法人・個人事業を登録するには「主任電気工事士」が必要で、第二種では主任になれない。第一種取得か、第二種+3年以上の実務経験を持つ者が主任電気工事士として登録する必要がある。
Q. 第一種の試験を受けるおすすめのタイミングはいつですか?
A. 第二種取得後2〜3年が最適。現場経験を積んでから受験すると、実務で見た設備の知識が試験に直結して理解しやすい。第一種は年1回(例年10月)しか試験がないため、受験年の1月から勉強を始めると余裕を持って対策できる。
Q. 第二種と第一種、どちらが就職に有利ですか?
A. 求人数は第二種向けの方が多い。ただし年収・ポジションは第一種の方が明らかに有利。建設系・設備管理系では第一種保有者を優遇する求人が多く、月給で3〜5万円の差がつくことも珍しくない。長期的なキャリアを考えるなら第一種取得を目指すべき。
Q. 第二種の技能試験の工具は自分で用意しなければいけませんか?
A. はい、工具は自分で持参する必要がある。試験会場での貸し出しはない。ホーザンのP-958やVVFストリッパーなど試験に特化した工具を揃えると作業効率が大幅に上がる。工具セットの選び方は専用記事で詳しく解説している。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験
🔆 次のキャリアを広げる|太陽光発電分野へ
第二種電気工事士の資格を活かして太陽光発電工事・点検・O&M業務に進む電工が増えています。